Mar 26, 2008

中韓、カンボジア投資白熱 経済成長年10%

 年率10%近い経済成長でアジアの“ライジング・スター”とも称されるカンボジアへの投資熱が高まりを見せている。産業の多角化や外資誘致で成長を目指 す同国に対し中韓企業が投資を拡大させている一方で、タイやマレーシアなどに多くの拠点を持つ日本勢の進出は出遅れており、現地政府も日本企業の投資活性 化に期待を寄せている。

 カンボジアは東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でもトップクラスの経済成長を続けている。2005年に経済成長率13・4%を達成し07年 見込みは9・5%、08年の見通しも8%と10%近い。情勢が安定したカンボジアは、中国やタイといったアジアの生産拠点で人件費や賃貸料が上昇しコスト 競争力が失われていく中で、低廉な労働力を確保できる新たな投資先として注目を集めている。

 対カンボジアの06年国別投資額(認可ベース)は1位が韓国の約10億ドルで、2位の中国が約7億ドル。1994~07年の投資累計では1位がマレーシアの約21億9700万ドル、続く中国が約17億6100万ドルとなっている。

 一方、日本の06年投資額は約200万ドルの14位で、韓国の500分の1にすぎない。94年からの累計額も約1億3500万ドルと2位中国の 13分の1だ。政府関係者は「日本企業の関心は最近高まっていて投資も増えているが、慎重なのかスピードが他国に比べ遅い」と指摘する。

 カンボジアは70年代のポル・ポト政権時代から内戦が続き、外資誘致など産業復興に注力する状況ではなかったが、98年の総選挙を機に政情が安 定化。政府は、世界でも有数の遺跡のアンコールワットを呼び水に観光産業を育成したほか、繊維や鉱物、水力発電、資源エネルギーなど産業の多角化により経 済成長を促進している。

 さらに、外資誘致では11カ所の経済特区を設置し通関手続きの簡素化や法人税免除などの優遇政策を展開し、外資の資金力と技術力を取り入れて産 業のてこ入れを図っている。最低賃金は月45ドルと安く、政府関係者は「労働者は勤勉で、タイやマレーシアなど周辺国に拠点を持つ企業が進出しやすい」と カンボジア投資の魅力を強調。中国や韓国は政府支援を強化し民間企業の進出が加速している。

 ただ、インドシナ地域を横断する運輸インフラの東西回廊によって流通網が整備されつつあるものの、大手商社からは「インフラ整備がまだまだ必要」とカンボジア政府や日本の政府開発援助(ODA)による法制度も含めた事業環境の整備を求める声も強い。(坂本一之)

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